猫とガジェットと自転車の小規模な生活

タイトルにあるようなネタをちまちまと綴っています。

アフタヌーン新書「オタク成金」

最近さっぱりライトノベル界隈で見かけなくなってしまった「あかほりさとる」さんの暴露本、のようなもの。

正直この人ほど「狙って自分を作り上げたラノベ作家」はいないと思います。実際にあってみれば実感しますがとにかく、恐縮するくらいサービス精神あふれる方です。そして各所に見え隠れするように、非常に頭の良い方です。「印税はほとんど飲んじゃった」というのはあくまでサービストークであって、ちゃんと会社組織を作って、しっかり節税にも励んでおられます。その上で「余剰の金で」豪遊し、伝説を残しているということです。この辺を割り引いて読まないと、あかほり節に飲まれるだけです。
本の内容は、大げさに言えば「インタビュー with あかほりさとる」という感じ。無知で無垢なフリーライターの女性を読者と自分の間に挟むことで、微妙に自分自身をフィクション化しています。これもあかほりさんのサービス精神の発露なのでしょうが、良い方向に向いていると思いました。説教の内容が昔と変わらないところも、どこかほほえましく思えます。

今からラノベ作家を目指すというなら、読んで損はありませんが、実践はおすすめしません。それでは「劣化版あかほりさとる」ができあがるだけです。あかほりさんが何を言いたいのかを読み取って、なにがしか自分の糧にする、そんな読み方で良いと思います。

ショックだったのは昨今のラノベ作家の現状というか、数字です。3万部でヒットって……おいおい^^; 単価500円で印税10%だとしたら、源泉引かれて135万にしかなりませんよ? 前世紀終盤の新人ラノベ作家の初版部数と変わりないじゃないですか^^; やはり衰退している、ということなんですかねぇ……。